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このゆびとまれ

このゆびとまれ


藤江恵那、6歳。
天才子役の名を欲しいままにする小学1年生である。


ドラマやバラエティ番組、CMにひっぱりだこ。
台本にないアドリブを入れたりもする実力派だが、“みんな”が望む理想の子どもらしさを見せてくれるのが人気の理由である。


だが、じつは……
そのあどけなさは、計算ずくの演技なのだ!



地の恵那の性格を知っているのは
マネージャーの田代だけ……。


裏表がある、というと聞こえは悪いけれど
それもある種のプロ根性。
現場の空気が悪いときは
わざとかわいいくしゃみをして場をなごませたり。
あざとさを出さないみごとな演出に
「かわい〜」と大人たちの目尻は下がりっぱなし。


目指すは宇宙一のトップ女優と豪語する恵那は
大人のタレントをもライバルとして評価判定する。
冷静な目で品定めし、
侮れない相手にはそれなりの態度で慎重に対応。
すべては自分の女優人生のために!


もっともムカつくのは
子タレだと思ってナメた態度をとる相手だ。



そんな相手には悪意が透けて見えないよう
無邪気な子どもゆえの発言を装って
相手の弱みをチクリと刺すからコワい!?


本作を読んでいて気づくのは、
恵那が裏表を使い分けなくてはならないのは
“大人の世界”のあり方のせいだということだ。


子役同士は露骨に火花を飛ばしあいもしていて。
恵那は売れっ子であるのをやっかまれるのを
気持ちいいと感じたりもするくらい。
まさに芸能界向きの性格で……
そのたくましさには胸がすく思いである。


そんな恵那と、ちょっと頼りない田代は
なかなか息の合ったコンビかも。



日頃ヒドい物言いはするけれど、
心の底では田代を大切に思っている恵那。


田代も従順なだけではなく
キメるべきときはガチでぶつかる!


どんなに賢くても、やっぱり子ども。
恵那の“素”ともしっかり向き合う
田代との関係性も本作の読みどころである。



<文・粟生こずえ>
マンガ・児童書分野を中心とする編集者&ライター。宝島社「このマンガがすごい!」のメインライター。
高円寺「円盤」にてブックトークイベント「四度の飯と本が好き」毎月第2水曜日開催中。
ブログ「ド少女文庫」(http://ameblo.jp/doshoujobunko/)



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