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ガラスの仮面

ガラスの仮面

【読者ライター 小早川真寛】

10代の頃、無謀な夢を抱いたことはないだろうか。漫画家、小説家、モデル、歌手、芸能人。
本作の主人公・マヤも14歳にして「女優になりたい」と夢見るようになる。

母子家庭、中華料理店に住み込みで暮らすという環境ゆえ、周囲はその夢を「叶わない夢」と笑う。

マヤ程の逆境で暮らしていなくても人は夢を笑うもので、10代の頃からの夢を大人になっても見続けるのは非常に難しい。
女優を目指す少女が主人公でありながら、そんな厳しい現実を序盤で丁寧に描いているのも本作の魅力だ。

10代の頃、本作を読んだ時、女優になることに無理解なマヤの母親に反感を覚えたのを記憶している。
特に印象的なのが学校の劇でマヤが間抜けな少女を演じるエピソードだ。

母親はマヤの演じる役柄について知ると、観に行くことを断念する。娘が観客から笑われるのが忍びないからだ。

子供の頃は「来ないなんて薄情な!」と憤慨したが、大人になるとこの気持ちが痛いほど分かるようになった。何の取り柄もない娘でも親にとっては誰よりも可愛いく大切な存在。それを笑われるなんてどれ程辛いか……。

だが実際はマヤの卓越した演技力により、観客から拍手喝采が送られる。
他の保護者からは「観に行けば良かったのに」と残念がられる始末。

親が子供の夢を批判し、断念させることは決して楽なことではない。しかし、それ以上に難しいのが、その夢見る子供の才能を信じて応援することではないだろうか。

20年ぶりに本作を読み返して、我が子が夢を語った時、その情熱、才能を信じる努力をしてみたいと感じさせられた。

© Miuchi Suzue

ピッコマ

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