残り物には福がある

残り物には福がある

年上の男性に寵愛されるお話が好きな方におすすめの異世界ラブロマンス。

国を幸せにするためという名目で異世界から召喚された主人公の三枝奈子は、大した特殊能力を持たず芽生えもしなかったため、召還した王様からぞんざいに扱われ城にあるボロボロの離宮で暮らしていた。

こんなところから早く出て行こうと思い自立の準備を進めていたところ、ジルベルト・シュバイツァー・グリーデン伯爵のもとに嫁がせられることになる。

この国ではとても尊敬されている人物であることを知っていた主人公は、伯爵の年齢が60を過ぎていることに少々不安を抱きつつも、城を出ていけるならという理由で承諾するのであった。



ヤバい。

初めて伯爵に会って挨拶をされたとき、奈子はときめきを感じずにはいられなかった。思わず人見知りキャラになってしまうほどの「紳士」の登場に緊張感が増している。自己紹介がうまく言えない。相手の声かけにうなずくだけで精一杯だった。


「こんな老いぼれに嫁ぐなんて申し訳ない。老い先短い人生です。寂しい老人を慰めると思って余生に彩りを頂けませんか」


伯爵のその言葉も届かないくらい、ある意味で奈子は興奮し、萌えていた。反応がおかしかったのか、「ナコ嬢?」と呼びかけられてはっと我に返る。そして、王様から勝手に自分を押しつけられただけなのではないか、何も特別な能力がないのに迷惑ではないか、伯爵に聞いてみる。しかし、伯爵はそれらを否定し、ゆっくりと包み込むように奈子を抱き込んだ。



伯爵の屋敷での生活はとても心地よいものだった。

伯爵も侍女たちもみんな自分に優しくしてくれる。元の世界では両親が自分のことでいがみ合い、学校の行事など面倒を押し付けあっていた。それが嫌で、奈子は両親を徹底的に避けていた。だから、この世界に来た時、ざまあみろとさえ思ったのである。自分がいなくなって大騒ぎになって、いなくなったことを理由に周囲からとがめられればいい。


伯爵に連れてきてもらったシロツメクサの原っぱで思わず自分の気持ちを吐露してしまった。

あなたの怒りは当然だ。だからどうか自分を責めないでください。そう言って、伯爵はそっと優しく背中から抱きしめる。その行為に思わず涙があふれた。両親への本当の思いが込み上げる。子供のようにしゃくり上げて泣く奈子の背中を、伯爵は泣き止むまでずっと撫でていた。



奈子は伯爵のことを本気で好きになっていた。

だから、馬車内でのやりとりの延長から屋敷のベッドに連れていかれた時も、緊張したが覚悟を決めることができた。ついに結ばれるときが来る。手慣れた手つきで服を脱がしていく伯爵に、奈子は身も心も委ねるのであった。


翌朝、あまりの緊張と慣れない感覚で後半すっかり意識が飛んでしまった奈子は、目を覚ますと同時に異様な体のだるさを感じる。昨日の出来事に恥ずかしさを覚えつつ、伯爵らしき人から名前を呼ばれたので、横で寝ている人の顔を見た。しかし、



なんと、そこには見知らぬイケメンが裸で寝ていた。

話してみると、どうやら伯爵らしい。

いったい何が起きているのか、まったく理解が追いつかない。


こうして、年の離れた夫婦であったはずの二人は、この件をきっかけに新たな運命へと巻き込まれていく。なぜ伯爵は若返ったのか、若返った伯爵を目の前にして、周囲の人たちは何を思い、そして二人の関係はどうなっていくのか、今後の二人の行く末をごらんあれ。


©日向そら/椎名咲月/ジュリアンパブリッシング

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