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『大蛇に嫁いだ娘』“種を超えた夫婦の物語”の魅力を解説!【あらすじ・登場キャラクター紹介】

『大蛇に嫁いだ娘』“種を超えた夫婦の物語”の魅力を解説!【あらすじ・登場キャラクター紹介】

漫画『大蛇に嫁いだ娘』は山の主である大蛇と、供物として大蛇に捧げられた人間の娘・ミヨが繰り広げる異種族の恋愛物語です。

著書・フシアシクモが自身のTwitterで発表した本作は、6万超のいいねを獲得。2021年2月より商業連載がスタートするやいなや、大きな話題となり、「次にくるマンガ大賞 2022」にもノミネートされました。

そんな『大蛇に嫁いだ娘』の見どころをご紹介します。

あらすじ

1話P7

©Fushiashikumo

蛇神信仰のある村に生まれた少女・ミヨ。額に傷を持つ彼女は、村人たちから「傷モノの娘だ。丁度良い」と言われ、山の主である大蛇のもとに供物として嫁(とつ)がされることになった。

すぐに喰われるのではないかと怯えるミヨだったが、大蛇の方は意外にもミヨと夫婦になれたことを喜ぶ。しかし、ミヨは人間とは遥かに異なるその生態や、愛情表現の仕方に戸惑いを隠せない。

それでも両者は種を超えて、愛し合う夫婦になれるのか。

『大蛇に嫁いだ娘』のキャラクター

ミヨ

4話P5

©Fushiashikumo

大蛇のもとに嫁いだ、あどけなさの残る少女。幼い頃は祖父と両親、弟の渉(わたる)と幸せに暮らしていたが、父親が起こした事件をきっかけに村で孤立する。大蛇と夫婦になってからも、その孤独を癒せずにいたが……。

大蛇

1話P3

©Fushiashikumo

山の神社に住む大蛇。500年以上生きているといわれており、人間や動物からも“山の主”として畏(おそ)れられている。しかし、本人曰く「ただの長生きした蛇」とのこと。普通の蛇と同じ生態を持ち、性格も温厚。

八兵衛

4話P8

©Fushiashikumo

長寿のタヌキ。ミヨたちが暮らす山に80年以上暮らしており、大蛇と同じく人間の言葉を喋ることができる。天敵である大蛇を嫌っているが、ミヨにとっては唯一の話し相手。夫婦生活のアドバイスもしてくれる。

僧侶

6話P8

©Fushiashikumo

陸奥の国からやってきた僧侶。「恩人の敵討ちのため」と称して旅をしている。大蛇とは昔からの知り合いである様子。山で狼に襲われ重傷を負っていたところ、ミヨに助け出される。

『大蛇に嫁いだ娘』の見どころ

“畏怖”から“愛情”へ 惹かれずにはいられない大蛇の魅力

3話P7

©Fushiashikumo

古来より、世界各国で神様の使いとして崇められてきた蛇。ミヨが暮らす村でも蛇神信仰があり、彼女が大蛇に供物として嫁ぐことになったのも村の不作がきっかけです。

その一方で、巨大な身体を持ち、500年以上生き続けている大蛇は人間から「化け物」と気味悪がられてきました。

実際に罠を仕掛けて狸やキツネをとり、それを大きな口で丸呑みする姿はおそろしいとしかいいようがありません。

しかし、心の器も大きいのが大蛇の魅力。謙虚で腰が低く、ミヨに対しても気遣いを欠かさないのです。そんな大蛇だからこそ、冬眠に入るときは山中の動物たちが見送りにくるほど、山の主として慕われているのでしょう。

ただ冷えているミヨの身体を口内で温めたり、自分のことを怯える彼女にどう接してよいか分からず、落ち込んだり……。そうした時折見せる不器用な一面も愛らしく感じてくるはずです。

孤独に生きてきた者たちが心を通わせていく

10話P6

©Fushiashikumo

大蛇の不器用な愛情に、ミヨも戸惑いながら応えていくこととなります。多くの生き物にとって崇拝の対象であるがゆえに、一匹で生きてきた大蛇と、村で孤立していたミヨ。種を超えて、両者を結びつけたのは“孤独感”でした。

ミヨと大蛇が夫婦になって初めて訪れる冬。少しずつ大蛇に心を許し始めていたミヨですが、夜の生活を巡ってふたたび彼女の中に恐怖心が芽生えてしまいます。両者はすれ違ったまま、大蛇は冬眠の日を迎えることに。

一人と一匹に戻った彼らは、例年以上の寒さに心を震わせます。それは誰かの温もりを知ってしまったからこその寒さでした。

この出来事をきっかけにミヨと大蛇の距離はぐっと縮まっていきます。互いを思いやり、孤独を埋め合っていく光景がなんともハートフル。同時に種族の違いを愛の力で乗り越えていく姿に、「他者を尊重するとはどういうことか」を教えてもらえる作品です。

大蛇とミヨを引き裂く?僧侶の存在

13話P1

©Fushiashikumo

ミヨと大蛇の純愛ぶりに心温まる一方で、随所にザラッとした質感をのぞかせる本作。特に第1巻の終盤に僧侶が登場して以降、物語は急展開を迎えていきます。

陸奥の国から少しずつ、ミヨと大蛇が暮らす山に近づいてくる僧侶。彼は旅先で出会った村人に、旅の目的を「恩人の敵討ちのため」と説明しています。

一方、なぜか大蛇も僧侶を嫌っており、両者に何か因縁めいたものを感じずにはいられません。

そんな中、八兵衛がミヨに送った「そのうち相手の悪いところがいろいろ見えてくんぞ」「愛ってやつが冷めたとき地獄だぜ?」という夫婦生活へのアドバイスがこれまた深い!相手の良いところだけではなく、後から見えてきた悪いところも受け入れられるかどうか。

八兵衛がミヨに突きつけた“課題”は、そのまま私たち読者にも突きつけられているのではないでしょうか。最初は大蛇×人間の夫婦って……?という興味で読み始めた方も、読了後は種族が違っても、同じでも、他者と関係性を築く上でぶつかる壁は案外似ていることに気づかされるはずです。

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©Fushiashikumo

山の主である大蛇と、供物として大蛇に捧げられた少女ミヨ。種を超えた夫婦の物語は、他者との関わり方について今一度振り返るきっかけを与えてくれます。

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