『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』(福田晋一『ヤングガンガン』/スクウェア・エニックス)は、コスプレがテーマの青年漫画です。
雛人形の顔をつくる「頭師(かしらし)」を目指す男子高校生・五条新菜(ごじょう・わかな)が、ひょんなことからクラスの人気者のギャル系美少女・喜多川海夢(きたがわ・まりん)のためにコスプレ衣装をつくり始めるストーリー。
一見真逆に見える二人がコスプレ活動を通じて新しい世界を知り、心を通わせていきます。コミックスは累計600万部を突破、2022年1月から放送されたアニメ(全12話)も話題になりました。
大人気の『その着せ替え人形は恋をする』の魅力を解説します。
ピッコマでは無料で1話から読めますので、すぐに読みたくなったかたはぜひそちらもチェックしてみてください!
あらすじ
©Shinichi Fukuda/SQUARE ENIX
真面目な性格で流行にも疎く、なかなかクラスになじめない毎日……。そんな新菜にとって、いつもクラスの中心にいるギャル系美少女・喜多川海夢(きたがわ・まりん)は別世界の住人だった。
ある日の放課後、新菜が被服実習室で雛人形用の衣装を作っていると、そこに現れたのは海夢だった。新菜が服を作れることを知った海夢からのお願いは、まさかの「コスプレ衣装の制作」で……!?
好きな気持ちがたくさんつまった胸キュン・コスプレラブストーリー!
『その着せ替え人形は恋をする』の登場人物(キャラクター)
五条新菜(ごじょう・わかな/声:石毛翔弥)
©Shinichi Fukuda/SQUARE ENIX
実家は老舗人形店を営んでおり、幼い頃に祖父が作った雛人形に一目ぼれ。以来、雛人形の顔を作る「頭師(かしらし)」を目指している。
一途で真面目すぎる性格と自己主張が苦手でクラスになじめずにいた。日々夢に向かって努力しているが、頭師としては未熟。趣味と練習を兼ねて雛人形の衣装を制作しているため裁縫が得意。
喜多川海夢(きたがわ・まりん/声:直田姫奈)
©Shinichi Fukuda/SQUARE ENIX
美人で明るくクラスの中心にいる人気者で、読者モデルとしても活動している。
アニメやゲーム・漫画が大好きでコスプレに憧れているが、おおざっぱな性格のため裁縫は苦手。
五条薫(ごじょう・かおる/声:斧アツシ)
©Shinichi Fukuda/SQUARE ENIX
内気な性格で友達がいない新菜を心配していたが、新菜と海夢の活動を知り応援している。
乾紗寿叶(いぬい・さじゅな/声:種﨑敦美)
©Shinichi Fukuda/SQUARE ENIX
外見が幼いため、主に魔法少女や女児向けアニメのコスプレをしている。
衣装や写真のクオリティが極めて高く、海夢の憧れでもある。怖がりで暗いところが苦手、若干ツンデレ気質。
乾心寿(いぬい・しんじゅ/声:羊宮妃那)
©Shinichi Fukuda/SQUARE ENIX
紗寿叶と仲が良く尊敬しており、専属のカメラマンを務めている。
密かにコスプレ願望を抱いているものの、体型へのコンプレックスと内気な性格で踏み出せずにいる。
姫野あまね(ひめの・あまね)
立ち振る舞いは女性そのものだが、実は20歳の男性。
新菜と海夢にメイクや女装コスプレの方法を教える。以前は男らしくない容姿にコンプレックスを抱いていた。
五条美織(ごじょう・みおり/声:冨岡美沙子)
病院に運ばれた祖父・薫を家に滞在させて通院を手伝うなど、薫と新菜を気に掛けてサポートしている。
菅谷乃羽(すがや・のわ/声:武田羅梨沙多胡)
赤いインナーカラーを入れた黒髪で、ツインテールのヘアアレンジが特徴。新菜と海夢が付き合っているのでは、と勘ぐっている。
大空(だいあ/声:雨宮夕夏)
外にハネたセミロングの茶髪が特徴で、大振りのピアスを付けている。
瑠音(るね/声:関根明良)
センター分けのロングヘアで、タレ目とおっとりした口調が特徴。
『その着せ替え人形は恋をする』人気の理由
ギャルと控えめ男子が互いの「好き」を肯定するストーリー
©Shinichi Fukuda/SQUARE ENIX
しかし幼い頃のトラウマから、人と関わることや自分の好きなものを伝えることに臆病になっています。特に自分と真逆に見える、いつもクラスの中心にいる海夢のような人に対しては。
ところが海夢も実はアニメ・ゲーム・漫画などが大好きで、コスプレイヤー志望のオタクだと判明します。
自分の趣味を恥ずかしいことだとは微塵も思わず、好きなことに対してとことん突き進む海夢の姿に影響され、新菜も自分を肯定できるようになっていくのです。
海夢はとにかくギャップが多いキャラクターです。ギャルなのにオタクであることや、コスプレで別のキャラクターになりきる姿など、さまざまな表情が描かれます。
底抜けに明るくポジティブな姿や、他人に対するリスペクトがとても魅力的です。
新菜は繊細ですが、相手を否定せず受け入れる柔軟さを持っています。また一度やると決めたことは強い意志でやり遂げるほど、芯が強くしっかりしています。
正反対の二人が、「お互い好きでたまらないことがある」という共通点を通して、共感したり、違う部分に葛藤したりしながら、お互いの「好き」を肯定し距離を縮めていく物語です。
王道の成長物語、青春ラブコメ
©Shinichi Fukuda/SQUARE ENIX
もともと新菜は練習と趣味で雛人形の衣装を作っていましたが、実際の人間が着る服を作るのは初めて。より良いコスプレ衣装を作るため、作品をとことん研究し三面図の作成や、着用したコスプレ衣装に改良を加えるなど努力をしていきます。
真面目ゆえに無茶をしてしまうこともありますが、真摯に取り組むことで成長していく姿に読者は心を動かされます。
また、タイトル通りこの作品は新菜と海夢2人の恋の物語です。
好きなものに対して真っ直ぐな2人は恋も純粋。初々しく、爽やかな青春恋愛ラブコメが好きな人におすすめです。
どこか抜けている海夢のセクシーなシーンと、思春期高校生男女の妄想のおかしさにくすりと笑い、もどかしい恋愛模様に胸キュンが止まりません。
丁寧な心理描写とコスプレ制作過程
©Shinichi Fukuda/SQUARE ENIX
普段は底抜けに明るいギャルの海夢が、コスプレをすることで別人になったようにさまざまな表情を見せてくれます。
また作者の福田普一先生はコスプレの取材を重ねており、採寸や縫製・ウィッグ選び・メイク方法・写真の撮り方なども詳細に描かれています。
例えば、最初にコスプレするキャラクター「雫たん」は、ゴスロリのような衣装を着ています。
新菜による衣装制作のシーンでは単に黒い布地を選ぶだけではなく、「お嬢様学校に通っている」というキャラクターの設定から高級感のある布地を選んでいきます。
ウィッグも前下がりのセミロングヘアを再現するためにロングヘアをカット。衣装制作にこだわる新菜の目線を通してコスプレに馴染みがない人にも分かりやすく伝えてくれます。
コスプレに親しんでいる人にとっては「あるある!」と共感できる描写がたくさんあるはず。
物語は最初、新菜目線で進んでいきますが、恋を自覚してからは海夢の心理描写も丁寧に描かれていきます。両サイドの気持ちが伝わることで、理解と深みが増し、好感度が上がっていきます。
気づけば読者は2人の恋を応援しているのです。
まとめ
不器用だけどまっすぐな新菜と明るく元気でキュートなギャル・海夢の姿を見ていると元気をもらえます。
1巻は2人の出会いと初めてのコスプレ制作が描かれ、2巻からは本格的に恋模様もスタート。
まずは2巻まで一気にまとめて読むのがおすすめです!
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