5分で”推し”が見つかる！手に汗握るスポーツマンガ20選
野球やサッカー、格闘技など、さまざまなジャンルで熱戦が繰り広げられるスポーツ漫画。厳しいトレーニングや修行を耐え抜き、対戦相手との死闘の末に勝利をつかむ姿は、読者の心を否応なく奮い立たせてくれます。
この記事では、競技だけでなく、その裏にある人間ドラマも重厚に描いたスポーツ漫画の名作20作品を紹介。読んでいるだけでアスリート気分になることができるスポーツ漫画の世界にご案内します！
魂を注ぐ！熱くなれる球技マンガ
アオアシ
©小林有吾 / 小学館
愛媛県の中学校でサッカー部のフォワードを務めていた青井葦人（あおい・あしと）は、現地を視察に訪れていた東京シティ・エスペリオンFCのユースチーム監督・福田達也に才能を見初められ、ユースの入団試験を受験。他のメンバーと技術的な差がある中、懸命なトレーニングを積む葦人は、プロへの階段を駆け上がっていく。
おすすめポイント!
サッカー漫画の中でもあまりスポットが当たらなかったJユースに着目し、家族やチームメイトたちとの交流を通して葦人の成長を描く青春物語。
当初は未熟だった葦人が努力を重ね、福田が注目した「試合を俯瞰で捉えられる視野」によってチーム内で重要な役割を担うようになったことで、元暴走族で唯一のスカウト生である冨樫慶司やジュニアユースから昇格した朝利マーチス淳などの精鋭たちもその才能を認めて結束を固めていきます。
なかでも屈辱的な言葉を吐き続けていた阿久津渚が葦人と少しずつ関係を改善する展開は胸熱。
葦人の兄でユース受験の後押しをした兄・瞬を主人公にした外伝「アオアシ ブラザーフット」もピッコマで読むことができます。ハリガネサービス
©荒達哉（秋田書店）
都立豊瀬高校のバレー部に入部した下平鉋（しもだいら・かんな）は、中学時代に控えのピンチサーバーであったことと控えめな性格から部の中で孤立。しかし、東京都選抜の候補であった同期メンバーとともに朝練を行った際、驚異的なサーブの技術を見せたことで評価を獲得し、次第に選手として存在感を発揮していく。
おすすめポイント!
主人公の鉋は、中学時代にアキレス腱を断裂したことでジャンプができなくなり、自分にできることを追求した結果、驚異的なサーブを獲得。
しかし、それ以外の技術はからっきしで、普段は穏やかで控えめな性格というところが、なんとも親しみを感じさせます。後々、明らかになる彼の秘めた内面や成長は、本作の大きな注目ポイント。
また、1年生の同期である間白譲治、松方一颯、金田進も、それぞれの特性を活かしたプレーで鉋とのチームワークを形成し、桐城高校や冬樹高校など、ライバル校との対決を経て豊瀬高校バレー部の新たな戦力として実力を発揮していきます。DRAGON JAM
©藤井五成 / 小学館
家庭の金銭事情から高校進学をあきらめ、バスケットボールで生活していくと宣言した立花龍也は、1年経っても働かず、友人のアコ、タイゾーと共に金を賭けた3 on 3バスケに明け暮れていた。ある日、名門私立高校のバスケ部に惨敗し、ストリートボールの名手・TJと出会ったことから3人の運命が変わり始める。
おすすめポイント!
スポーツの枠に留まらずカルチャー的な側面も併せ持つストリートボールの魅力を知ることができる本作。
バスケットボールの世界でダンクシュートのことを指す“ジャム”を、即興演奏を示す音楽用語になぞらえており、龍也、アコ、タイゾーたちが織りなすプレーは、予測不能なコンビネーションで、まさに腕利きミュージシャンたちによるセッションのようなスリルを感じさせます。
また、プロリーグの「SOMECITY」やオープントーナメントの「WHO'S GOT GAME」など、実在する組織や大会が登場することも物語のリアリティを高めています。水球男子
©ことり／集英社
県立綿津見高校に入学した田北太陽は、成り行きから幼少時代の腐れ縁である三船功が所属する水球部に入部。粗暴な態度に当初は部員たちも手を焼いていたが、強豪・墨ノ江高校に押しかけての練習試合で負けず嫌いの性格に火がつき、本格的に水球選手としての道を歩み始める。
おすすめポイント!
水中の格闘技といわれる水球の魅力をイケメンキャラクターたちの肉弾戦で熱く描きます。
主人公の田北は、序盤から不良グループを相手に大乱闘を演じるなど、荒くれぶりを発揮。水球部への入部も因縁の相手・三船への対抗意識と女子にモテるかもしれないという不純なものでしたが、入部にあたって行われた模擬戦では、日本舞踊の家元である父親に鍛えられた精神力と超人的な運動能力で部員たちを圧倒します。
水球での活躍を期待されながら頑なに入部を断り続けるハルや、田北にとって初めての対戦相手となる墨ノ江高校のエース・桜庭紳など、魅力的なサブキャラクターたちの活躍も必見です。ノーサイドクエスト
©好本拓朗/芳文社
ラグビーの元日本代表選手で、現在は引退状態にある不動琢磨は、親友の次郎が顧問を務める五見高校ラグビー部の顧問を務めることに。チームの強化にあたって、不動がまず取り組んだのは、RPGのようにさまざまな運動部でお荷物扱いとなっていた部員を集め、即席のチームを作ることだった。
おすすめポイント!
公式試合であと一敗したら廃部という崖っぷち高校ラグビー部の復活劇。
既存のラグビー部員を奮い立たせるための新メンバーとして不動は、RPGのパーティーを組む要領で校内運動部から部員を寄せ集めますが、最後に選ばれた八工推翔のみ、なぜか帰宅部のいじめられっ子。もうひとりの主人公とも言える彼に不動が何を見出したかが物語の大きな鍵となってきます。
「ラグビーは15人全員がエース」という不動の言葉通り、運動部の落ちこぼれだったメンバーがラグビーと出会い、自らの特性を発揮する姿は、チームプレーの醍醐味が満載です。
疾走感あふれる！自転車＆陸上マンガ
Odds VS！
©石渡治／双葉社
高校時代にロードレーサーとして将来を期待されながら、父親の引き起こした交通事故により、高額な医療費が必要となった辻堂麟太郎（つじどう・りんたろう）。競輪の世界へと転身し血のにじむ努力で華々しい戦績を残しS級選手となるが、新たなステージでは、レベル違いの試練が待ち構えていた。
おすすめポイント!
2006年にスタートし、掲載誌を変えながら続いてきた「odds」の最新シリーズ。
S級に昇格後、スランプに陥っていた麟太郎が復活を果たし、ルーキーチャンピオンリーグに挑む展開で、序盤からヒートアップ。
レースの描写もよりダイナミックになり、師匠である秋谷淳との対決も描かれるなど、鬼気迫る勢いで読者を魅了します。後にコーチとなる元競輪選手・伊藤一路による実践的なトレーニング描写も見応え抜群。
また、最愛の恋人・美帆が麟太郎のもとを去ってしまうという波乱の展開もあり、レース外での出来事からも目が離せません。弱虫ペダル
©渡辺航（秋田書店）
中学時代に自転車競技で活躍した今泉俊輔は、オタク少年の小野田坂道が高校裏門までの激坂をママチャリで軽く登る姿を見てレースを挑む。言われるままにペダルを漕ぎ今泉を驚愕させた坂道はロードレーサーとしての資質を見いだされ、自転車競技の世界で才能を開花させてゆく。
おすすめポイント!
日本でのロードレース普及に大きく貢献した本作は、“自転車を使った格闘技”と言われる競技の魅力をハイテンションな作画で表現。まったくの素人だった坂道が部内で行われた1年生対抗レースに参戦し、レーサーとして覚醒する場面は、序盤のクライマックスとして読者を引き込みます。
今泉のほか、派手好きな鳴子章吉、箱根学園の真城山岳、今泉のライバルである京都伏見高校の御堂筋翔、など、同期には強者たちが勢揃い。
また、金城真護をはじめ、坂道たちの２学年上のメンバーにスポットを当てた『弱虫ペダル SPARE BIKE』も連載されており、こちらもピッコマで読むことができます。新しい足で駆け抜けろ｡
©みどりわたる / 小学館
中学時代、サッカー部のエースだった菊里翔太は左脚を失って義足となり、高校進学後はスポーツと無縁の日々を送っていた。1年間の休学が明けたある日、事故に遭いかけた子どもを救った現場で義肢装具士・千鳥政信と出会ったことにより、菊里はパラアスリートとしての一歩を踏み出すことになる。
おすすめポイント!
現在、世界的に注目度が高まっているパラスポーツをテーマとした本作。
大手義肢装具メーカーから独立し、アスリートに特化した義足開発に心血を注ぐ千鳥、積極的にコミュニケーションを取ってくるクラスメートの宇佐美など、仲間を得て挫折を経験した菊里が徐々に自信を取り戻していく姿が胸を震わせ、青春ドラマとしても存分に楽しめます。
コロナ禍によるオリンピックの延期といった社会の動きも反映させるなど、今の時代をリアルに感じさせる作風も新鮮。選手と開発者の間で生じる義足に対する理想のギャップといった苦労も綿密に描かれています。VOLTAGE〜ビューティフル・ランナー〜
©IKKAN/TJ16/小松大幹/piccomics
オリンピック出場選手を選考するマラソン大会で先頭を走る優勝候補・小湊光世の前に幼馴染の猿渡鉄馬が出現。2人の幼馴染である玲子も見守る中、レースは波乱の展開に。そして、激戦を繰り広げる２人の知らぬところで、ある少年の誘拐事件が発生し、不穏な空気が動きはじめる。
おすすめポイント!
大企業の御曹司ながら孤独を抱えていた小湊と天真爛漫な猿渡が少年時代に出会い、走ることで親友、そしてライバルとしてお互いの絆を確かめ合う物語。
2人がしのぎを削るマラソン大会の裏では東京都知事まで巻き込んだ巨大な陰謀が暗躍するなど、サスペンスやミステリーの要素も満載。スポーツ漫画の枠に留まらないドラマチックな世界観を構築しています。
貧困の中、生きる手段としてマラソンに打ち込む猿渡と、彼に勝つことをアイデンティティとする小湊がせめぎあい、やがて巨悪を暴くための共闘関係に至る展開もスリリングです。ヘブンズランナー アキラ
©二階堂ヒカル / 小学館
人並み外れた巨体と常に白目の形相、不気味な笑い声で周囲を恐怖におとしいれる武将髭アキラ。その見た目と裏腹に「どうすれば友達ができるのか」と悩む彼は、ある夜、同じ高校の長距離走選手・小笠原由美子と出会って陸上競技の魅力に触れ、陸上部への入部を決意する。
おすすめポイント!
友達が欲しいがためにマニュアル本の通りの行動をするも、勢い余って人を遠ざけてしまうアキラの行動はギャグチックでありながら切なさいっぱい。
それだけに陸上部に入部してから少しずつ周囲と打ち解ける様子には、思わず心が温かくなります。驚異的な身体能力を誇るアキラが先輩や同期の仲間たちから陸上のいろはを叩き込まれ、超人的な活躍を見せる様子が痛快。
悪魔のような外見のアキラとは対照的に、彼を陸上の道に引き入れたヒロイン・由美子が萌え度の高いタッチで描かれるなど、幅広いキャラクターの描き分けも見どころの一つです。
めざせ甲子園！手に汗握る野球マンガ
バトルスタディーズ
©なきぼくろ／講談社
高校野球の名門と言われる大阪のDL学園から特待生として迎えられ、硬式野球部に入部した狩野笑太郎と同期の1年生たち。甲子園という夢の舞台への想いを胸に学園生活をスタートさせた彼らを待っていたのは、3年生を頂点とする上下関係と厳格すぎるほどに徹底された鉄の掟だった。
おすすめポイント!
PL学園野球部出身の作者が自身の体験をもとに描いた作品だけあって、寮生活を中心とした野球部員たちの生活描写が非常にリアル。
作中で描かれる鉄の掟は脱走者が出るほどの厳しさですが、ネガティブな側面だけでなく、高校生ならではのにぎやかで若々しい部分も笑いを交えながら描くことで楽しく読み進めることができます。
ミニコラム的に登場するDL学園野球部の豆知識を読んでいると、いつの間にか高校野球の事情通になったような気持ちに。試合の場面では神がかり的な強さを誇るDL学園のプレーがオフビートなタッチで描かれ、じっくりと読者を引き込みます。BUNGO―ブンゴ―
©二宮裕次／集英社
静岡県のとある町。自宅で壁当てをしながら一人、野球への情熱を燃やしていた小学生・石川文吾は、同世代の天才バッター・野田幸雄の練習に遭遇し、野球で勝負をすることに。健闘むなしく打ち取られた文吾だったが、幸雄の所属する静央シニアに入団し、本格的に野球の道を歩むことになる。
おすすめポイント!
一般的に甲子園を目指す野球漫画は高校時代から描かれることが多いのですが、本作では文吾が、どのようにして野球と出会い、その魅力にのめり込んでいった過程が小学生時代から丁寧に描かれています。
静央シニア入団後も、文吾に自分のいるところまで上り詰めるよう鼓舞する幸雄、チーム唯一の女性プレーヤーである神谷真琴、超人的なプレイを見せる上級生メンバーなど、個性豊かな面々が一丸となってリトルリーグ日本一、そして、その先にある甲子園出場という夢に向かって邁進。
現在、連載では中学３年生に成長した文吾たち。高校進学後のさらなる活躍に期待がかかります。GRAND SLAM
©河野慶／集英社
神奈川県立美咲高等学校に入学した少年・世界一心は、憧れていた野球を本格的に始めるべく部の門を叩くが、同学年で中学時代に関東大会を制した蔵座直哉から初心者という理由で入部の辞退を勧められる。しかし、彼の提示したテストを突破した一心は、選手として成長するとともに弱小だったチームも徐々に力をつけていく。
おすすめポイント!
日本拳法の道場に生まれながらも気が弱く、試合で人を殴ることができなかった一心が、修行の成果を野球に取り入れてピッチャーの才能を開花させる様子は、スポーツ漫画における修行シーンの醍醐味を凝縮。
当初は下級生いじめに明け暮れていた3年生たちがピュアな一心に影響され、改心する展開にも癒されます。一心とバッテリーを組む蔵座の技術解説や、チームのコーチとなる老人・山本源輔による身体構造にもとづいたトレーニングの説明など、知識面でも読み応え抜群。
超高校級のアスリートだが強調性のない蓮池南が蔵座との対立を経てチームプレイに目覚める展開も要注目。錻力のアーチスト
©細川雅巳（秋田書店）
中学時代、他人を信用できない性格のため、驚異的なバッティング能力を持ちながらシニアチーム内で孤立していた清作雄。怪我のため私立名門校への野球推薦が絶たれ、地元の神奈川県立桐湘高等学校で再び野球部に入部するが、そこでは自身の価値観を大きく変えるチームメイトとの出会いがあった。
おすすめポイント!
序盤は、父親が金銭を騙し取られ、ネジ曲がった性格に成長した清作が桐湘高校野球部のチームメイトに出会ってチームプレーの重要性を知り、野球本来の魅力に開眼する展開に胸が熱くなります。
清作が越えるべき存在として目標にし、対立しながらもアドバイスを送る強打者・弐識敏、温和な性格なのにマウンドに立つと人格が豹変するエースピッチャーで主将の之路拓人、ナルシスティックで卓越したバッティングセンスを持つ柊瞠など、上級生たちのキャラの濃さにも要注目。
かつての清作のチームメイトや弐識の兄が籍を置く強豪校・港南学院との対決までに、さまざまなライバルと対峙し成長する清作の姿に奮い立つこと必至です。群青にサイレン
©桃栗みかん／集英社
小学生時代、従兄弟の吉沢空に投手の座を奪われたことで野球を断念した吉沢修二は、進学した県立玄石高校で空と再開。小柄な空を見返すチャンスとばかりに２人で野球部に入部するが、その思いと裏腹に修二は過去のイップスを克服できずキャッチャーに、空はピッチャーに任命される。
おすすめポイント!
過去のトラウマが原因で野球から遠ざかった修二が、「俺は絶対できるのに、どうして空ばかり」と嫉妬に身を焦がす姿からは、青春時代ならではの焦燥感が狂おしいまでに伝わり、切なさが全開。
野球部に入部後は気のおけない仲間に囲まれながら徐々にその葛藤と正面から向き合い、繊細な心の移り変わりが丁寧に描かれていることから、気がつけば修二に自分を重ね合わせて見てしまいます。
一方、空も修二から距離を置かれていることで自身の立ち位置に悩み、交わらない２人が、どのようにバッテリーとしてコンビネーションを築き上げるのかが必見です。
体や拳でぶつかり合う！格闘スポーツマンガ
鮫島、最後の十五日
©佐藤タカヒロ（秋田書店）
かつて悪童として名を馳せた大関・火竜の息子である鮫島鯉太郎は、空龍部屋に入門後、小柄な体格からは考えられないガッツと相撲センスで幕下優勝を勝ち取り、みごと幕内に昇進。しかし体には連戦によるダメージが蓄積し、初入幕場所では、満身創痍でライバルたちとの戦いを重ねながら自身の相撲道を邁進する。
おすすめポイント!
『バチバチ』『バチバチ BURST』から続く人気相撲マンガの最終作。
作者の急逝により惜しくも未完となってしまいましたが、不良少年だった鯉太郎が父親である火竜の生き様を確かめるかのように相撲に打ち込み、死闘を通じて成長する姿や数々の名勝負は、今もなお読者の胸を熱くさせています。
本作では、幕内に昇進し、心身ともに力士として高みに上った鯉太郎の姿が凛々しく、取組中の描写には神々しさすら感じさせます。
飛天翔や王虎、猛虎といったライバルたちが、それぞれに抱える葛藤、鯉太郎との戦いにかける情熱なども丁寧に描かれ、人間ドラマとしても見応えたっぷりです。リクドウ
©松原利光／集英社
父親が借金苦で自殺し、母親に引き取られた少年・芥生リクは、虐待を繰り返す母の愛人を正当防衛で殺めてしまい養護施設に入所。元ボクサーの借金取り・所沢京介との出会いからボクシングを知ったリクは、自らもボクサーを目指し、所沢の古巣である馬場ジムで厳しいトレーニングを積んでプロボクシングの世界で頭角を現していく。
おすすめポイント!
悲惨な家庭環境で育ったリクが生きるためにボクシングを選択し、脇目も振らず没頭する姿は、ストイックかつ壊れてしまいそうな脆さを感じさせ、感情移入せずにはいられません。
その他のキャラクターも生活環境や金銭などに事情ありな人物が多く、全体的に重いトーンの作風ですが、それゆえにドラマへの没入度は抜群。
馬場会長や所沢によるボクシング技術の解説も分かりやすく、初心者でも違和感なく試合にのめり込むことができます。ライバルである兵藤楓との命をかけたせめぎあいや養護施設で共に育った苗代ユキとの恋など、リクをとりまく同世代の人物たちとの関係にも要注目です。三日月のドラゴン
©長尾謙一郎 / 小学館
幼少時に両親を亡くし、祖母と暮らす月島龍之介は、気弱で不良グループにも標的にされる高校１年生。ある日、コンビニでバイト中、強盗に襲撃されたところを客として来店していた謎の老人の格闘術によって助けられ、龍之介は、その強さが空手によるものであることを知る。強くなりたいと願う龍之介は、老人に空手の手ほどきを懇願する。
おすすめポイント!
シュールかつナンセンスなギャグ漫画で高い評価を得ている長尾謙一郎が、真正面から描く王道の青春ストーリー。
気が小さくひ弱だった龍之介が空手の達人・西田凡拙と出会い、過酷な修行に耐えて覚醒する姿は、まさにスポ根マンガの不文律。対立していた不良グループたちと拳を交えたことで心を通わせていく展開にも胸が熱くなります。
ほのかな恋の予感に胸キュン要素も。暴力や仲間の死など、次々と襲いかかる理不尽に抗いながら心と体を鍛える龍之介に読者の心も勇気づけられること必至。
主人公やヒロインは少年漫画風ですが、それ以外の登場人物には従来の長尾さんのタッチも見られます。All Free!～絶対!無差別級挑戦女子伝～
©青野てる坊／双葉社
“柔道の神様”と謳われた御船久蔵十段の子孫である15歳の少女・御船淳は、現役を引退し、柔道の世界から身を引いた叔父・御船隼己にカムバックしてもらうため、男子柔道無差別級の世界に飛び込む。抜群のセンスで体格差を物ともしない奮闘を見せる淳は、御船流柔道の志を受け継ぎながら数々の強敵に立ち向かう。
おすすめポイント!
小柄な淳が持ち前の柔道センスで体格差のある男子選手に挑む姿は、スポーツ漫画における新たなヒロイン像を確立。
試合での一進一退の攻防もスピード感に溢れており、目で追っているだけで、その迫力に飲まれてしまいそう。柔道の世界を去った隼己も淳に可能性を感じ、指導者として育成にあたることで、彼女のさらなる強さを引き出します。
柔道では類稀な強さを誇る淳がプライベートのシーンで見せる15歳の少女らしい、あどけない表情も見どころの一つ。現在は続編の『All Free!! 無差別級挑戦女子 本伝』が連載されており、さらなる強豪との戦いが期待されます。明治異種格闘伝 雪風
©Kohei Uchida/講談社
明治十九年、暴漢に襲われそうになったそば屋の少女を助けに現れた少年・雪村風太郎は、アメリカ仕込みのボクシングで襲い来る敵を圧倒。その様子を見ていた老人・櫻木源右衛門は、主君である侯爵・柴原典膳が主催する「御前仕合」に風太郎をスカウトする。参戦を決意した風太郎は、相撲や空手など、さまざまな体術の相手との死闘を繰り広げる。
おすすめポイント!
まだ幕末の名残がある日本でボクシングを駆使し、強敵を凌駕する風太郎の姿はインパクト抜群。
御前仕合に参加する闘志たちも個性豊かな面々が勢揃いで、特に初戦の相手である大相撲の横綱・天鳳は、強すぎるがゆえに抱えていた孤独を風太郎との戦いで徐々に生きる実感へと変えていき、後のストーリー展開においても重要な役割を果たします。
風太郎が御前仕合への参戦を決意した家族のエピソードは物語の重要な骨格。西南戦争〜明治維新の動乱の中で生じた兄・虎太郎との対立は、スリリングな試合との二段構えで楽しませてくれます。
まとめ
おすすめのスポーツ漫画を、話題作から名作まで20作品ご紹介しました。ピッコマでは、ご紹介したすべての作品が無料で試し読みできます。気になる作品があれば、ぜひこの機会に読んでみてくださいね。
