天獄の島
死刑に替わる極刑として島流しが採用されている、
近未来の日本。
罪の重さによって流刑地は異なるが、
なかでも一番の重要犯罪人が送りこまれるのが
“天獄の島”だ。
住む家も、もちろん食糧も用意されていない
まったくの孤島。
しかも、凶悪な犯罪者たちがサバイバル生活を送る
無法地帯とあっては無人島より始末が悪い!
しかし、この物語の主人公・御子柴鋭は
この島に来ることを自ら望んだ人間だ。
天獄の島にいるであろう旧知の男に会う……
そのために犯罪をおかしたのである。
硬派の戦場ジャーナリストとして鳴らし
世界中の危険区域を渡り歩いた御子柴は肝の据わった男。
磔の死体を見ようと、たじろぐことはない。
最初いに連れて来られたジャングルのような地帯だけでなく、島には「街」が存在することを突き止めるのだ。
その街の名は「天国」という。
かつて島に住んでいた人々が残した住居を利用して
人間らしい生活が営まれているかと思いきや。
ここも普通ではない!
街の中には「区」があり互いにしのぎを削りあっている。
その内幕は複雑で、腕に自信のある御子柴も
うかつに暴れることはできず……。
街の人々が「神」と崇める少女の存在。
そして、街の中枢を担う組織は
御子柴でさえ想像しえない
大きな陰謀と関わっていた。
御子柴は生きて真相にたどり着くことができるのかー。
法の力は及ばない、
脱出不可能な“密室空間”で展開する
サバイバル×ミステリーの傑作だ!
<文・粟生こずえ>
マンガ・児童書分野を中心とする編集者&ライター。宝島社「このマンガがすごい!」のメインライター。
高円寺「円盤」にてブックトークイベント「四度の飯と本が好き」毎月第2水曜日開催中。
ブログ「ド少女文庫」(http://ameblo.jp/doshoujobunko/)